学会賞

日本相続学会学会賞選考委員会ならびに表彰規定

第一回学会賞

■論文賞

論文名「民法から争族を見る -遺言・贈与と遺留分-」
常岡 史子 様 (横浜国立大学 国際社会科学研究院 教授)

【要旨】
民法の遺留分制度は、被相続人の贈与や遺言よる財産処分に対して一定範囲の相続人に相続財産の一部を保障する制度とされており、そこには共同均分相続主義のもとでの相続人間の公平や生活保障等の意味がある。しかし、被相続人が一部の相続人のためになす財産処分は、往々にして事業の承継や特別な保障を必要とする相続人の生活の保護という目的を持ち、死後の財産承継について示されたその意思をどのように貫徹すべきか、また、そのような死者の意思に対して相続人の遺留分権はどこまで守られるべきかという問題が生じる。しかもこの問題は、通常、被相続人の死後に残された共同相続人間の紛争という形で現れる。本稿では、遺留分をめぐる近時の最高裁の4判例を題材に、相続債務がある場合の遺留分侵害額の算定方法、相続分の指定や特別受益の持戻し免除の意思表示に対する遺留分減殺請求、価額弁償請求権と弁償額の確定について考察する。(論文より)

■著作賞

著作名「延納適用と相続税納税制度」平成27年9月 一般社団法人大蔵財務協会
右山昌一郎 様 (日本税務会計学会 顧問)

【要旨】
相続開始後に延納制度があり、所得税・法人税にみられる確定納税前の予定納税制度に準じた相続税予納制度が皆無であることは、国が相続税納付の困難性に対して相続税の納税義務者の自主的納税に配慮していないものと解することができます。
相続は、相続税を支払うために存在するものではありません。
むしろ被相続人の相続の目的は、相続人の事業承継又は居住用財産の取得等による生計の安定を願う幸福追求権に求められます。そう考えた場合、相続税は推定被相続人の生存中に相続税納税負担の解消方法を生前の制度として考慮すべきものです。
したがって、被相続人が生前に所有財産を目安として、推定相続人のために相続税を生前に遺言信託の一種の相続税納付条件付信託として、予納しておくことは、我が国の相続を包括承継という本来の姿に導くものであり、かつ、推定被相続人の家族に対する最大の愛情の表現であるといえます。そうした意味から、以下に述べる「相続税予納制度(案)」を提起するものです。(著書より)