2011年11月8日,六人の有志が集まり,日本相続学会の設立について話し合ったのが,本学会の始まりです。その時の様子は,まさに六人の坂本龍馬が口角泡を飛ばし,熱く日本の将来を語るという場面でした。その後一年間,設立準備会として議論を重ね,2012年11月に任意団体として設立。そして2013年9月に一般社団法人日本相続学会となりました。

 本学会には,二つの大きな使命があります。一つ目は,現行のルールのなかでいかに工夫したら「円満かつ円滑な相続」を迎えることが出来るのかという研究です。実務者中心の本学会は,それぞれに持つ無数の事例情報を積み重ねるという視点に,学問的な視点からのご協力をいただき,たくさんの答えを見出そうとしています。そしてその成果を早く,広く国民に公開するという使命です。 二つ目は,新しいルールを政策提言していくという使命です。相続に関する現行のルールのうち,既に国民生活の実態に合わない部分については,よく議論したうえで,実務者中心である本学会ならではの提言をしていくことが必要であると考えています。

 本学会は会費を支払って,じっと待っていれば何かのサービスが自動的に提供されるという会ではありません。学ぶステージに立てたというのが相応しい表現だと思います。真っ赤に燃える炭の中に身を投じ,周りから熱を貰いながら成長するということではないでしょうか。会員が増え,私たちの活動がさらに充実したものになることは,そのまま比例して,多くの国民の幸福に貢献できると信じています。
 本学会は「円満かつ円滑な相続」をキーワードとして中心に据えています。「円満かつ円滑な相続」で何を求め,何を守りたいのかという問いには,社会の基礎集団である「家族」の幸福を求め,守りたいという答えを出します。今後約30年間,相続の件数は増加し続けます。相続争いによって,絶縁家族が増加し続けるということがないようにしなければなりません。

 会員各位のご協力のもとで,着実に一般社団法人日本相続学会の発展に全力を尽くす決意ですので,会員諸兄のご支援を賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。

一般社団法人日本相続学会
会長 伊藤 久夫